住宅ローン減税、24年1月厳格化。

「住宅ローン減税」とは、ローンを組んで住宅を購入した際に所得税が減税になる制度のこと。
一定の省エネ基準を満たさない新築住宅が来年一月からローン減税対象外に。
2023年8月25日更新
                  
【住宅ローン減税」とは、どんな制度なのか?
ローンを組んで住宅を購入した場合、年末のローン残高のうち、一定の比率にあたる額を所得税などから差し引かれます。住宅を購入する人は、子供の成長などをきっかけとして、ローンを組まれることが多く、家計の支出の中でも最も金額が多くなる住宅取得を税制面から後押しする狙いがあります。控除額の上限や期間の変更などで制度が今日まで続いてきました。
2022年度の税制改正では大きく見直され所得税や住民税から差し引ける金額を年末のローン残高の1%から0.7%に引き上げられました。これは住宅購入者の減税額が支払利息よりも大きくなる「逆ざや」を解消する狙いがあり、一方で減税の期間は原則10年間から13年間に広げ、中間所得層も恩恵を受けやすくしたものです。
住宅の省エネ性能に応じて減税対策となる借入限度額に差が出るように詳細に分類しています。省エネや耐震性能に優れているとの認定を受けた「長期優良住宅」や「低炭素住宅」などが5000万円と、減税対象の借入限度額が最も多くなっています。省エネ対策が十分な】高性能住宅ほど、税制面では有利になっています。

新築物件の2割弱が適用外の可能性も指摘!
住宅ローン減税は、住宅を取得するか、中古住宅を増改築した場合に、最大13年間にわたり各年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税などから差し引く仕組みです。
現在は、省エネ基準を満たしていなくても3000万円を上限として控除対象に成っていますが、国土交通省は24年度の税制改正要望でこのような措置を終了する方針で、24年1月以降に入居する新築住宅では、断熱性能などの省エネ基準に適合しないと住宅ローン減税の適用を受けられなくなります。

予想とは異なるマンションなどの省エネ性能。
国交省の調査では、20年度時点では新築住宅のうち16%が省エネ基準を満たしていないことがわかりました。これは、マンションや戸建て住宅のうち計8万戸程度に当たる数字で、規模的には、マンションなどの大規模な住宅が27%、中規模で25%が基準に届いていないことが判っています。
一般的には、戸建て住宅よりもマンションなどの集合住宅の方が性能が良いように思っている方が多いのですが、国交省ではマンション建築業者への説明会を開催し、省エネ基準を順守するように23年から頻繁に説明会を開催して性能向上を目指しています。
制度移行時は、特例が設けられますが、24年6月末までに竣工する住宅住宅の場合は、基準に達しなくても減税対象にはなりますが、借入限度額は今よりも1000万円減らし2000万円として控除期間も10年に短縮されます。

省エネ基準の厳格化は脱炭素化の加速のため。
経済産業省によると21年度の日本の二酸化炭素排出量のうち15.8%が住宅など家庭部門に由来し、産業部門に比較すると取り組みが鈍く、50年までに温暖化ガス排出量の実質0目標の達成は住宅の省エネが進まないと達成は不可能です。政府は表・2のように住宅の省エネ化へ段階的に対策を強化しています。
独立行政法人「住宅金融支援機構」の「フラット35」の新築住宅への融資は23年4月から省エネ基準を満たすことが条件になっています。
さらに今回は、一般の金融機関の住宅ローンについても、24年1月から基準に適合しないと減税を受けられないようにしました。

25年度に基準に合わない違法建築物を抑えるため。
25年度から義務化される省エネ基準は断熱性能の等級と空調や照明など1次エネルギー消費量など複数の指標で表します。住宅ローンの減税の申請には、条件に適合していることを示す証明書を提出する必要があります。
政府は「フラット35」などに対して、省エネ性能が高い住宅には、更に金利を引き下げるなどの優遇措置も導入し、住宅購入者の環境意識を高める方針を打ち出しています。もはや、高性能住宅と省エネ性能は待った無しの時代になっています。

草原住宅は、皆様のご要望に応えられる資金計画・住宅建設で、確かな省エネ住宅・生涯住宅をサポートしています。是非一度、展示場をお尋ね下さい。


「放置住宅・土地問題」の抜本対策開始。

社会問題化している「放置住宅」や「所有者不明土地対策」の解決を図る民法改正の三本柱が本格的に動き出す。
相続人が財産の分け方を話し合う遺産分割協議に10年の期限を設ける改正民法が施行!
2023年5月31日更新

国の所有者不明土地対策が本格的に動き出した。
所有者不明土地とは、不動産登記簿を見ても誰が持ち主なのか判らない土地のことで、近年(表・1)のように年々増加傾向を示し「放置農地や住宅」なども、未相続のものや土地所有者不明のために、対処できないものが多く、社会問題化しています。
「政府は、所有者不明土地対策として位置づけてきた3本柱、(表2)の民法改正・相続土地国庫帰属法・改正不動産登記法を施行させて対策に乗り出しました。相続人が財産分与を話し合う遺産分割協議に10年の期限を設ける民法改正が4月1日から始まり、不要な土地を国が引き取る相続土地国家帰属法が4月27日より開始、土地建物の登記を義務づける改正不動産登記法も2024年4月に施行されることが決まっています。
「親の家や土地を相続するか、しないのか、処分するかなど」決めないままでいると今後は、思わぬ費用負担が発生しかねないので注意が必要です。
所有者不明土地の発生は、被相続人が亡くなり、相続が発生したときに相続人が名義変更をしないで、長期にわたって放置することで発生します。
学識経験者などで構成する「所有者不明土地問題研究会」によると、全国の所有者不明土地の面積は2016年時点で410万ヘクタールと九州の面積を上回り、2040年には、720万ヘクタールに及ぶ見通しで、都市再開発や公共事業の土地買収の妨げになったり、廃棄物の不法投棄現場になるという深刻な問題になっているため、この度の民法改正に踏み切られました。

遺産分割協議に10年の期間設定をもうける。
相続開始から10年過ぎても分割協議がまとまらない場合は、原則として法定相続割合で分割されます。遺言のない場合は、民法で定めた財産の分け方「法定相続分」で分ける場合、例えば配偶者と子1人の場合は、2分の1ずつ、配偶者と子2人の場合は、配偶者2分の1と子が、4分の1ずつとなります。相続人全員が合意すれば法定相続分とは異なる分け方でもかまいません。
問題なのは相続人の中に生前贈与を受けたり故人の生前に医療費や介護で多大な貢献をした人がいる場合で、特別受益や寄与分を踏まえた公平な分け方が理想的ですが、相続開始から10年を経過した場合は、特定受益や寄与分を認めないで、法定相続での分割方式になります。不服な場合は、期限内に家庭裁判所に調停・審判を申し出ることが可能です。

相続した土地を国に引き取ってもらう場合。
第3の柱となる「相続土地国庫帰属制度」の利用は、国に土地を引き取ってもらうことです。
利用希望者は、土地のある都道府県の法務局に申請し、土地が申請段階の条件を満たしていれば受理されますが、条件は利用申請時と法務局による審査時の2段階があり、それぞれ5つの条件があります。申請時に建物があると申請は受け付けません。解体・撤去が必要で、費用は自己負担です。担保権が設定されていたり、隣地との境界が不明確で争いがある場合も却下されます。
審査段階では、土地に庭木を含む樹木や石灯籠などの工作物も解体撤去が必要で、除去が必要なコンクリート片が埋まっていたりすると認められません。地割れや陥没がある場合も承認されません。全てクリアして引き取りが決まったら申請者は管理費相当額として一定の負担金を治める必要があります。
具体的には、宅地、農地、森林といった土地の種類や面積ごとに決まります。例えば、都市計画法の市街化区域にある宅地で面積が「100平方メートル超200平方メートル以下」なら「面積×2450円+30万3000円」で算出します。
市街化区域外にある宅地の負担金は面積にかかわらず一律20万円となっています。

煩雑な手続きのため法務局の事前相談の活用を。
法務省によると、全国の相談受付件数は、3月末までの約1ヶ月間で1500件に達する相談が寄せられ、土地の種類は農地が約4割で最も多く、宅地が3割、森林が2割の割合だと言うことです。
住宅の新築計画時には様々な問題が噴出してきます。今回は遺産分割協議が10年になった民法改正についてお知らせしました。

草原住宅は、地元の工務店としてこれから住宅をお建てになる皆様を多角的にサポートとして参ります。住宅に関することならどんなことでも遠慮無くご相談下さい。

「既存住宅価値」の適正評価が始まる?

住宅の担保価値に立地や省エネルギー性能などを反映する「評価モデル」を造り高性能住宅を適正評価。
築年数を主な評価基準にしてきた現状の見直しを促進し、日本の住宅市場の課題を解決!
2023年4月27日更新

国土交通省、「住宅評価モデル」の作成を公表。
国土交通省は市場の取引価格をもとにした「住宅評価モデル」の作成を公表しました。全国各地の取引データを分析することで、対象の土地、建物構造、床面積、立地場所などを入力すれば、即座に価格を推定できる手法を想定しています。
米国では「フレディマック」(連邦住宅貸付抵当公社)の評価モデルを活用して,金融機関が既存住宅の担保評価を算定しています。全米50州を対象に約一億件の不動産記録を分析し、秒単位で価格を算定できるため住宅ローン手続きの簡素化に役立っています。
国土交通省は日本版の「フレディマック」評価を開発しようとしています。省エネ改修などで住宅の品質が向上した場合にその価値が適正に上乗せされる仕組みも考慮し、既存住宅の「建築行為を伴わない認定制度の創設」等と共に、既存住宅の住宅評価の新時代が始まります。
「固定資産税評価額」の「耐用年数」からの脱却!
国によって評価が決められる「固定資産税額」は客観的な資産価値の指標となるもので「固定資産税」は「土地」と「建物」それぞれの「固定資産税評価額」から算出して合算されますが「課税対象」の価格ですから不動産の「相場価格」(実際の購入価格)よりも低く評価されるのが一般的です。
耐用年数」を超えた建物には「資産価値」がないと判断されることが多く「一戸建て(木造)は20年で価値がなくなる」といわれるのは、このためで戦後の住宅は実際に「耐用年数」に準じた住宅だったのです。

最近までヨーロッパの日本家屋の評価は「ウサギ小屋」でした。
「耐用年数」とはあくまでも税金の算出に使用されるもので「耐用年数」が過ぎたからといって住まいとしての価値が完全になくなるわけではありません。
経年による最終残価率(下限)が20%に定められているため「耐用年数」を超えても「家屋の評価額」および「固定資産税」もゼロにはなりません。

戦前に建てられた高水準の住宅は今でも現役!
日本の住宅がこのように世界から掛け離れた低性能住宅に成り下がったのは、主要都市のほとんどが焼け野原になった戦後からです。我が国では、戦後の70年の間、フル回転で住宅が建てられてきました。大手ビルダーの多くが戦後復興の只中に生まれました。大企業は、社員の住宅確保のために「営繕会社」を経営し、木材の不足していた時代に「軽量鉄骨(アメリカのスチールハウス)」を全国規模で建てまくり、現在もその名残で軽量鉄骨のスチールハウスを建てていることも日本の住宅が短命な一因になっています。
江戸時代や昭和初期までに建てられた古民家は現在も外国人の手で「リノベーション」(修復・再生)される等、世界的に人気があります。戦災に会わなかった京都の町屋などは、ヨーロッパの住宅と比較しても引けを取りません。これらの住宅は全て「100年を優に越した」江戸時代からの建物です。

高性能住宅が長期的に価値を維持できる時代。
地方にも古い歴史を持つ、伝統的な建造物が残っていますが、日本建築は「木と紙で出来た粗末なもの」という印象はありません。
本来の日本建築は欧米人もあこがれるほどの堅牢さがあり、特に京都の町屋は、欧米の長寿命住宅と同じように、四季の快適性が計算され尽くした建物です。日本の江戸時代や昭和初期までに建てられた古民家は、外国人等の手で「リノベーション」(修復・再生)されて、世界的に人気があります。
住宅市場に占める中古住宅の割合は、日本では15%に止まるのに対し、米国では80%、イギリスでは89%が中古住宅ということは、米国では新築が20%、イギリスでは18%しかなく、日本では85%が新築です。これは恥ずべき事に日本の住宅が「社会資本」たりえないということです。
これからは流通に耐える長寿命・高性能住宅が子や孫の資産になります。欧米に比較すると市場拡大の余地は非常に大きく、高齢化で増加する空き家問題の解決にも、中古住宅の活性化は役立つと共に子育て世代などが優良な中古住宅を売買しやすい環境を整える事も急務となっています。

年度中に「評価モデル」をまとめて活用を促す。
近年では生活様式や嗜好に応じて、断熱性能を改善する省エネ改修や大規模改修(リノベーション)も増えています。築年数の判断だけではこうした住宅の価値を反映できず中古住宅のローン承認を滞らせる原因になっています。

国土交通省は令和5年度中に金融機関向けの評価モデルをまとめて銀行などに活用を促す予定です。
ようやく日本にも、高性能住宅を公平に評価できる「住宅評価システム」が誕生します。100年の寿命を持つ住宅は適正に評価されます。
欧米のように住宅そのものが社会資本としていつまでも地域に愛されて住まい継いでいかれる時代が来ました。
草原住宅は今後とも地域に残る住宅建築を心がけて参ります。